足場は強風でも倒壊しない安全な設置が欠かせません。
足場の構築では風荷重を計算し、強風に対応した足場を組み立てる事が必要となります。
そこで、風荷重と足場の関係をご紹介します。
風荷重の計算
風荷重とは風の圧力と風が当たっている面積を掛けた数のことを言い、正確には「風圧力qに受圧面積Aを乗じた値」で、式は「Qw=q×A」です。
風荷重は風圧とそれを受ける足場の形状により左右されます。
足場の風荷重の計算式は
足場に作用する風圧力N=地上高さZ(m)における設計用速度圧(N/㎡)×足場の風力係数×作用面積(㎡)
となります。
地上高さZ(m)の設計用速度圧は空気密度と風速の2乗に比例し、以下の式で求められます。
地上高さ(Z)における設計用速度圧=0.625×地上Zにおける設計風速(m/s)の2乗
地上高さ(Z)における設計風速(m/s)は以下の式で算出できます。
地上Zにおける設計風速(m/s)=基準風速(m/s)×台風時割増係数×地上Zにおける瞬間風速分布係数×近接高層建築物による割増係数
基準風速、台風時割増係数、地上Zにおける瞬間風速分布係数、近接高層建築物による割増係数は地域毎に数値が規定されています。
強風・突風が足場に当たり足場の倒壊を防ぐためには足場がどのくらいの強度を必要とするかを明らかにし、風荷重を計算します。
風荷重を算出する事により強風の日でも倒壊しない足場づくりができるようになり、安全性の高い足場を組むことができます。
壁つなぎ部材の許容耐力
壁つなぎ部材は作用する風圧力により足場が倒壊してしまわないように足場を建物に固定するために用いる部材です。
壁つなぎの許容耐力は仮設工業会認定品では4.41kN(450kg)ですが、風荷重は短期間に作用する事から許容耐力を3割増するのが一般的です。
なお、単管足場の「壁つなぎ又は控え」の間隔を垂直方向5m以下、水平方向5.5m以下に設置する事としており、この事からくさび緊結式足場の場合は2層3スパンごとに設置すれば良い事になります。
強風対策の足場はコスト面で課題がある
強風により足場を倒壊させないためには適切な風荷重で設置する事が大切です。
しかし、強風対策の足場の設置では足場の構造や部材により多大な出費を伴うことがあり、足場の設置が困難な場合もあります。
足場の設置ではコスト面も考慮しなければならず、強風に特化した足場の組立てではコスト面の課題がつきものです。
足場は風荷重の計算が必要不可欠
足場作業は高所での作業となりますので、安全に作業を行うため風荷重の計算が不可欠です。
計算はややこしいように見えますが、分解して考えれば理解しやすくなります。
自然相手の風に対して安全を見込んで足場の設置を行いますので、計算で出たからOK、では済まさず十分に安全を配慮した足場構造にする事が大切です。