足場は安全性を確保するために日常点検が義務付けられています。
日常点検は十分な知識と経験を有する者が行うことになっていますが、その「十分な知識と経験を有する者」であることを証明するために「施工管理者等のための足場点検実務者研修」があります。
ここでは、足場点検実務者研修の概要について解説します。
足場点検者に必要な資格
足場の日常点検を行うのは以下の資格を保有している人です。
また、日常点検を行うのはその足場作業に携わっていない第三者である必要があります。
・「足場の組立等作業主任者能力向上教育」修了者
・「労働安全衛生コンサルタント(土木・建築)」有資格者
・「計画作成参画者」有資格者
・「仮設安全監理者」有資格者
・「施工管理者等のための足場点検実務者研修」修了者
施工管理者等のための足場点検実務者研修
足場作業を実施するときは、毎日作業開始前に墜落防止設備の脱落の有無などを日常点検することが義務付けられています。
また、悪天候後や地震、足場の組立て・一部変更後には注文者にも点検が求められています。
これらの日常点検を実施するために設けられたのが足場点検実務者研修です。
受講対象者
受講の対象者は満18歳以上で以下の項目に該当する方です。
・建設工事の施工管理の実務に従事した経験がある者
・店社の安全衛生部門で足場設置計画書の審査や現場の安全パトロール等の業務担当者
・事業者の代理人として足場で作業を行う職長等
講習内容
講習は計4時間で、2科目を受講します。
1.基本の知識(災害事例と関係法令)…1時間
・足場からの墜落関連災害事例とその防止対策
・労働安全衛生法令のうち、足場の組立て等に関する条文
・手すり先行工法ガイドラインの概要
2.各種足場の知識(足場の組立て等の安全施工と保守管理)…3時間
・足場、部材等の種類と特徴
・組立て・変更時の点検のポイントと記録等
・組立て・変更後等の保守管理
2023年より足場点検者の指名が義務化へ
足場の日常点検者の資格となる「足場点検実務者研修」について解説しました。
建設業界では、高所からの墜落や転落災害による死亡事故の発生率が高く、その対策が急がれています。
そこで、労働安全衛生規則が改正され、2023年10月より足場の点検を行う際の点検者を指名することが義務付けられています。
また、足場組立て後の足場の点検表に点検者の氏名を記載することも義務付けられています。
建設事業者はルール変更の社内通知や、足場点検者の指名、点検表の見直しといった対応が必要になります。