足場の倒壊を防ぐため、足場は安全性を確保して組み立てる必要があります。
その安全対策の一つが壁つなぎです。
壁つなぎは建物と足場を専用の金具などでつなぎ、足場の安全性を高める効果が期待できます。
今回は、足場の壁つなぎの種類や設置基準について解説します。
壁つなぎの目的
壁つなぎの目的は足場の倒壊や揺れ、変形などを防止することです。
建物に壁つなぎ専用金物を設置し足場とつなげることで、足場の安全性を高めます。
壁つなぎが適切に設置されていることにより、足場上での作業が安全に行えます。
また、足場を固定することで建物に無駄な負荷をかけることなく、作業時の壁面や構造物へのダメージを最小限に抑えられます。
壁つなぎの種類
壁つなぎの種類には主に次の3つがあります。
壁つなぎ専用金物
壁つなぎ専用金物は、片方がクランプ、もう片方が雄ねじになっている部材です。
雄ねじを建物に垂直に取り付けて足場とつなげます。
クランプ側はジャッキ構造になっており、建物と足場の距離に合わせて長さを調整できます。
コンクリート打ち込み前にインサートを打ち込み、壁つなぎ専用金物のねじと接続する「躯体打込みインサート」という工法がよく知られています。
キャッチクランプ
キャッチクランプは単管パイプとクランプを使って壁つなぎにする方法です。
足場の設置場所や風圧力をもとに強度計算を行ったうえで最適な壁つなぎの方法を選択します。
単管パイプ挟み込み
単管パイプでF字型の形状を作り、躯体を挟み込む方法です。
パラペットの部分や解体工事でよく見られる壁つなぎの形です。
壁つなぎの設置基準
壁つなぎの設置基準は労働安全衛生規則第570条に定められており、設置間隔などに規定があります。
壁つなぎを設置する間隔は、単管足場とくさび式足場の場合、垂直方向5.0m以下、水平方向5.5m以下と定められています。
また、枠組足場の壁つなぎの設置間隔は垂直方向9m以下、水平方向8m以下、枠幅600mm未満の簡易枠組足場は垂直方向5.5m以下、水平方向5.5m以下です。
壁つなぎは足場と建物双方を守る重要な安全措置
壁つなぎの目的や種類、設置基準について解説しました。
壁つなぎを設置することで、足場の倒壊や歪みを防止することはもちろん、建物側へのダメージを防げます。
壁つなぎの効果を発揮させるためには労働安全衛生規則で定められた設置基準に基づき、壁つなぎを設置することが必要です。
足場に関連する法律は安全性を高めるため頻繁に改正されますので、こまめにチェックして最新の法律に基づいて設置することも求められます。